作品の総評
 

 

 
  

◆幼稚園・保育園・・・ 年少の部


  •  線や丸を描くのが楽しい時代。3才児なりの絵の楽しさは十分感じられた。

  • テーマがお母さんから家族になったことで、子どもが描く題材が広がった。

  • つみき、ボーリング、買い物など、おもしろいテーマが増えた。

  • クレヨンの線に子どもの思いがよく出ていた。(いきいきとしている)

  • 淡色で処理してあるところが、年少によく合っていた。

  • 年少では、絵の具でぬりつぶすと、子どもの思いがかくれてしまいがちなので、線描中心がふさわしい。

  • 子どもの思いが伝わりやすい題名がよかった。

◆幼稚園・保育園・・・ 年中の部


  • 全体的に明るく楽しい絵が多かった。線もいきいきのびのびとして楽しい絵が多かった。

  • テーマが「家族」になって広がった分、絵の中に表わされている人数は多くなったが、題材的には一緒に買い物やさんぽ、一緒に食事の風景など逆に狭くなってしまったのではとも感じた。4、5人が横に並んでいるような絵が多数あり、お母さんの絵の時のような看護師のお母さん、美容師のお母さん、自分に本を読んでくれてる、お化粧やパソコンをしている姿など、物や自分とかかわっている具体的な姿が少なかったように感じた。絵を描く際に指導する側が誰とのどんな姿を大切にしたいかを投げかけていくことが大切ではないのかと感じた。

  • 絵の具を使っている作品―色画用紙を効果的に使っていてマーカーやパスだけではインパクトが少ないので効果的に使うという形で使っている。必要以上に色をつけたり、絵の具だけで描いたりというものもあったので発達に合った指導をしてほしい。

  • 「わたしの家族」では思いは伝わらないので、題名を大切にしてほしい。題名がないと伝わらないので思いをしっかりひきだして先生が題名に表わしてほしい。

◆幼稚園・保育園・・・ 年長の部


  • 家族がテーマということで、家族のふれあいが中心となっている絵が多く、又父親が登場している作品が増えたように思う。

  • 家族で行った旅行や帰省など屋外での経験や体験した内容の作品も多く、その時の様子を素直に表現しており、見ていて思わず笑顔になってしまい、ほのぼのとした。

  • 特別な経験だけではなく、普段の日常の生活体験(お風呂や食事、睡眠シーン)がテーマとなっている作品も増えてきたように思う。

  • 作品の中に登場する人物が幅広くなった。(祖父母、兄弟等)

  • 子ども達が家族で一緒に過ごすときに心から安心し、楽しんでいる様子や感情が個々でしっかりと表現できていると感じとることができ、家族をテーマにすることで改めて家族の良さを子ども自身が感じる活動になったのではと思う。

◆小学校 1年生の部


  • 1年生のこの時期は幼保での学びに大きく表現力の育ちが左右される。その中での教師の指導力が問われる。教師がしっかりと丁寧に入門期の基礎基本の指導をすることが大切。

  • 色画用紙の効果的な使い方、子どもの育ちに応じた適切な描画材、たとえば線をクレヨンでかくのかサインペンでかくのか、クレヨンは灰色、おうど色あるいは輪郭をかかないのか等を子どもの育ちに応じ、効果を考えて適切に支援するということも大事にされるべきであろう。

  • 家族そのものへの思いを描くというより家族で共に過ごした時間を楽しい思い出としてひっくるめて表現している作品が多かった。特に旅行をした、ホテルにとまった、ドライブをしたといういつもの違う空間で共に過ごした思い出が多かった中で、日常の何気ない一コマに思いをもって描かれた作品も少なくなかった。例えばお風呂洗いなどの家事のシーン、学校の帰り道、お買いものなどのありふれた時間での家族とのかかわりに子どもたちが家族を意識しているのだと改めて感じた。

  • 子どもたちが小さな目と心で家族を見つめている瞬間があちこちにあることを大人たちがしっかり考えること感じとることが子どもの心をしっかり受けとめることにつながるのだろう。

◆小学校 2年生の部


  • 生活の日常と旅行や戸外で活動をテーマとしていて広がりがある。

  • 水彩絵の具とクレヨンの併用があり、効果的である。

  • 記念写真のように家族が一列で並んで正面から描くよりも、活動している場面を描く方が望ましい。

  • 余白を生かした作品も見られた。

◆小学校 3年生の部


     テーマ
  • 家族みんなとのかかわり(みんなで食事、みんなでお出かけ、みんなで料理)を表すものが多い。「お父さん、水やりよろしくね」、「買い物をするお母さん」、「お仕事がんばるお母さん」等、家族の様子を大きく表情豊かに描いているものもあった。


  • 描画材料
  • パス+絵の具、絵の具を効果的に使っているものがあった→色がきれい(きれいな色でうすくぬる、タンポやぼかしでやさしい、点表現でぬる、ローラーやスパッタリング等の技法の感じを表している)

  • 画用紙の白を効果的に使っているものもあり、とてもきれいだった。

  • 家族を後ろ向きで(表情が無い)描いている絵が例年より多く感じた。

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◆小学校 4年生の部


     テーマ
  • 飛行機にのったこと、ワシにえさやりをしたこと、バーベキューをしたこと等、楽しかった家族との思い出の1シーンを描いているもの

  • 料理をしながら音読を聞いてくれるお母さん、雑巾をつくるお母さん、鍋を作るお母さん等、家族の日常を描いているもの

  • 十年間の思い出、お母さんありがとう、いつも支えてくれて感謝等、家族の頑張る姿を応援する声が聞こえてきそうな作品も多かった。


  • 描画材料
  • 絵の具を無理なくやさしい色使いで使っているものもあったが、全体的に黒や茶を基本とした暗い色使いの絵もあった。

  • 色えんぴつ、パス等を使い、細かいところまでていねいに表現しているものがあった。

◆小学校 5年生の部


  • 4年生と比べると少しのびやかさに欠ける感じがするが、テーマが明確な作品はまとまりもあり、良かった。

  • 色使いがよいものがあった。(まとまりのあるもの、鮮やかな色を組み合わせ明るく仕上げた)もの、白を生かし明快な感じのするものなど)

  • テーマは家族と一緒になって料理やスポーツをしているもの、手伝いをしているものが多かった。

◆小学校 6年生の部


  • 表現力、技術の高さを感じた作品があった。

  • テーマは感謝、日常、家族のあたたかさ、思い出等多岐にわたっていた。

  • 写実的になる時期だが、母親をテーマにしたものはイメージや雰囲気を大切にして色の組み合わせで表現した作品が特によかった。

  • 輪郭線のない絵もそのひとつでとてもよいものがあった。